福田道路株式会社 VISION2024

変革に挑み
未来へ続く道を拓く

代表取締役会長 海野 正美(うみの まさみ)

建設DXは変革のビッグチャンスだ

進化するデジタル技術を取り入れ、暮らしや産業をよりよいものへ変革しよう――デジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性は高まり、業界は今、革新の真っただ中です。

私たち福田道路は、2019年から2021年までの3か年で「働き方革新と生産性の向上」に取り組みました。その成果を受け継ぎ、2022年から2024年までの新たな3か年においては、「新たな歴史を共に築こう!」をスローガンとして、革新をさらに進めていこうと考えています。それは、建設DXを「私たちが変われる絶好のチャンス」と捉えているから。建設業界は変わらなければなりません。
私がまず変えたいのは、3Kともいわれた建設業の旧来のイメージです。業務全体にDXを活用すればプロセスの見える化や効率化につながり、現場で ICT施工を行えば、労働環境が改善され、生産性も高まります。若者にとって魅力のある職場環境に生まれ変わることができるのです。また、省人化が叶えば、業界で深刻化している担い手不足への切り札にもなります。

建設業にとって有効なDXの推進ですが、課題もあります。それは「慣れているから従来のやり方の方が楽」という、デジタル技術の活用に消極的な考え方です。とくに市町村道や工場内敷地の舗装など中小規模工事では、実際に人の手で行ったほうが早く進むケースもあり、ICT活用が見送られるのも現状。これからの3年間でDXを浸透させて工事に関わるすべての人の意識を変えていこうと思います。これが二つ目の変えたいことです。そこで2022年にDX推進室を新設し、全国の事業所からICT施工の事例を収集して検討し、ICT活用のヒントや提案の発信を始めます。そして、規模に関わらずDXに適応できるように現場をフォローしていきます。

地域密着×50カ所、全国をネットワークで結ぶ

普段はあまり意識されることのない道路が注目されるのは、人や車を通行させるという本来の機能を失ったときです。たとえば災害時、道路が通れなくては避難や救援ができず、復興も進みません。だから、道路の復旧は最優先で最重要。私たちの重大な使命です。
では、どうすればその使命を十分に果たせるか――私たちは全国にネットワークを構築し、臨機応変かつスピーディな対応を可能にしました。
建設業では工事の期間だけ現場に仮設事務所を設けることが多いので、本社以外に拠点を置かない企業も少なくありません。一方、私たちは設立から50年間で北海道から九州まで全国約50カ所に常設の事業所を設け、それぞれの地域で実績を積んできました。事業所は一つの「点」ではなく、それぞれの地域で施工会社や舗装材料の製品工場と「線」でつながって「面」を形成。その50カ所での地域密着がつながって、日本全域をおおっています。だから、災害時はもちろん、地域をまたぐような大型プロジェクトにも対応できるのです。私たちは日本全国で安心と安全を守っています。

技術力と開発力で持続可能な社会を実現する

世界が2030年に向けてSDGsの実現を進めている今、私たちは道路整備事業と舗装材料の製造事業という二つの面から脱炭素社会の実現に取り組んでいます。道路整備では、ICT施工や自動化によって工事の効率化を図って環境負荷を低減。製造では、製造プロセスの効率化、燃料の選定・組み合わせによってCO2の排出を削減。加えて、製造温度を30度下げられる中温化アスファルト混合物、当社の技術研究所で開発した大掛かりな施工を必要としない舗装材料など、素材そのものでもCO2排出量の削減を可能にしています。
技術研究所は、「社会が今、必要としている技術」を開発するために1976年に設立した研究施設です。本格的な道路のメンテナンス時代に突入した現在は、道路の長寿命化、環境負荷の少ない素材・工法開発をテーマに研究を進めています。代表的なものには、ひび割れやわだち掘れなどの傷んだ道路をその場で補修再生する「ヒートドレッシング工法」があります。現場から排出される道路廃材をその場でリサイクルできるので、CO2排出量の削減と施工コストの低減できる、画期的な工法です。
また、車両搭載カメラで撮影した動画から路面の損傷状況をAIが判断する「AI技術を活用した舗装損傷診断システム」を開発しました。損傷の早期発見と計画的な補修によって道路の長寿命化を叶え、持続可能な社会の実現を支えていきます。

社員と会社が信頼しあう「きずな文化」を醸成する

建設DXも技術開発もそれ自体は目標ではなく、よりよい未来を創っていくためのシステムでありツール。それらを使って問題の本質に迫り、解決していくのは「人」です。だから、私たちはこれからの3年間で人財育成と評価制度をさらにブラッシュアップします。
重要なのは、自発的かつ主体的に仕事に取り組む意欲です。それを育てるためには、自分の専門以外についても広く知り、視野を広げることが有効と考え、「FRC人財育成プログラム」という研修制度の中で、弛まず学ことの大切さを促す「セルフスタディ・プラスワン」を推奨しています。現在は、新たな研修プログラムとして、技術や知識の伝承を動画で社内に展開するシステムを構築中です。同時に、これまで10年かけて進化させてきた人事評価制度を完成させます。評価される側の考えや思いを丁寧に聞き取って、評価をフィードバックすることで、評価の過程の透明性と納得感の向上を図ります。公平な評価によって、社員一人ひとりがやりがい、働きがいを実感できる環境を創り上げています。
こうした人事制度は、法律や制度ができたから始めたことではありません。50年間の私たちの歴史の中で生まれ、受け継がれてきた価値観を形にしたものです。今のビジネス用語でいえば「エンゲージメント」にあたりますが、私は社内で親しまれてきた「きずな文化」と呼びたいと思います。会社と社員が絆で結ばれ、互いに成長し関係を深めていくという考え方です。これからの3年間で、さらに「きずな文化」を醸成させ、会社での時間が豊かなものになるような環境を創り上げていこうと思っています。

福田道路の新たなステージが始まる

「建設」とは新しくものをつくりだすこと。新たな価値を追求すること。前向きに挑むこと。私たちはその歩みを止めません。社会の課題解決に挑戦し、想定を超える災害や困難に立ち向かい、「あたりまえの安全と快適」を支え続けていきます。

道路は安全であることがあたりまえ。誰がどんなふうに造っているのか、守っているのかを知らないという声は、それだけ道路が安全であり続ける証拠でもあります。それでも、私たちの存在を知ってもらうことで、もしもの時の安心や信頼につながるなら、それもまた私たちの使命。そこで、2022年から2024年の3年間で「道路」の役割や意義、目には見えないけれど進化している機能について、そして私たちの取り組みについても発信していきたいと思っています。
私たち福田道路は、社会インフラとして人々の暮らしに欠かせない道路網を支える道路づくりのプロフェッショナルです。